rugtaku’s diary

日々のニュースで疑問に感じたことを取り上げる

何もしないことが支持率を上げる?

 ロシアのウクライナ侵攻にともない、日本政府は欧米諸国とともにロシアの制裁強化を推し進めているが、それ以外に岸田内閣がおこなった目立った政策はほかにない。それでも内閣支持率はこの3か月間で上昇傾向にあり、とうとう5月の朝日新聞社の調査では59%に達し、岸田内閣になってから最高を記録した。また参議院選挙の比例区投票先としては、自民党が42%となり、日本維新の会の11%および立憲民主党の10%を大きくリードした。

 

 年代別では18歳~29歳で自民党支持率が56%と高く、無党派層の中でも自民党に投票すると人が23%に達した。維新の会と立憲民主党を見ても、年代別では30代で維新22%、立憲民主党5%と維新支持率が高く、70歳以上で維新の会8%、立憲民主党14%でようやく逆転する。東京では維新9%に対し、立憲民主党13%となるが、大阪では維新35%、立憲民主党3%と地域による支持率の違いもある。今夏に行われる参議院選挙で、「与党が議席を増やしたほうが良いと思うか」と尋ねたところ、「今とあまり変わらないほうが良い」が40%、「与党の議席が増えたほうが良い」が20%もあり、「野党が議席を伸ばすほうが良い」は32%であった。つまり与野党逆転による政権交代を期待していないという調査結果となった。

 

 連日報道されるウクライナの惨状に、武力侵略に対する憤りとともに、政権に対して安定感を求める国民の意思が反映されているようである。憲法改正に対する調査でも、集団的自衛権を9条に明記しようという声は小さかったものの、強い国家権力(時には政治権力による国民の自由の制限も許される)を望む声が見られたように、国家権力による安全保障を望む声が強くなっているのが気にかかる。

 

 私的な意見で申し訳ないが、国民の命を守る防衛という意味ではそれでも良いのかもしれないが、日常生活を送るうえで、ガソリンや水道光熱費が上がり続ける一方(ガソリンは政府の補助金で値上がりが止まったのも大きかったのかもしれない)、食料品の値上がりは続いており、日本の金融政策により、円安による値上がりも止まらない状況が忘れ去られているのではないか。それよりもなによりも、岸田内閣はコロナ禍においてダメージを受けた日本経済を立て直すために何ら具体的な政策提言が出てきていないのである。雀の涙のような補助金がばらまかれるだけである。

 

 日本経済再生のためのシナリオを作るような努力もしているわけではない。それでも支持率が上がるのは、野党が頼りないからであろう。国民の政治に対する信頼感が薄れている現状を明確に物語っているのが今回の世論調査の結果であろう。国民が政治に関心を持ち政策に意見を反映させるようにしていかなければ、ますます国民の感覚と政治権力を有している人々の感覚はずれを生じるであろう。